五十嵐隆久「リカ」

「パパとムスメの・・」の作者である五十嵐さんのデビュー作品だそうです。
42歳のサラリーマンが軽い気持ちで出会い系サイトを利用します。初めのうちはゲーム感覚で過ごしていましたが次第に相手の女性に狂気が・・！
この作品が発表された時はこういう感じだったのかもしれませんが、簡単に自分のデータをさらしたり、携帯番号を教えたり・・・
ちょっと信じられません。それはともかく。。
いろいろな意味で物足りなさはありますが、デビュー作と思うと逆に新鮮です。

乃南アサ「風の墓碑銘」

女刑事・音道さんのシリーズです。男性の書かれる女の刑事さんの話よりよりリアルで（男社会の中での苦難など）身につまされますがその中でしっかり力強く成長していくこの主人公が私は好きです。
お話は古い家を解体中に出現した白骨死体。真夏の町を歩きまわるも死体の身元さえわからない。そして唯一の手掛かりかと思える老人までも・・・
と派手な事件は起こりませんが、息苦しさはてんこもりです。
相方の中年の刑事さんの勘違い的な心配りがまったく届いていなかったりすのが微笑ましかったりします。

穴澤賢「ひとりと一匹」

富士丸と言うわんこです。
ハスキーとコリーの血を引く雑種だそうです。
可愛い～と叫んでしまうほど可愛らしい訳ではないのですが（失礼）
なんだかとても癒される優しいわんこです。
その飼い主である作者が手紙という形で思いを綴っています。
幸せのおすそ訳を頂いた気がします。

西尾維新「零崎曲識の人間人間」

零崎シリーズであります。『人間失格』零崎人識が好きな私はこのシリーズの大ファンです。
どうしてこんなに個性豊かな人たちを送り出せるのでしょうねぇ。
曲識さんもすごくいいキャラクターだと思います。
ちょこちょこ出てくる人識くんに喜び、そしてやっぱり出てくる赤いあの人との絡みでじんわりしました。テンポがいいのでサクサク読めてしまいます。

恩田陸「麦の海に沈む果実」

２回目です。「黄昏の百合の骨」を読んだあとどうしてもまた読みたくなりました。
初めに読んだ時はただ単に幻想的な雰囲気にうっとりと言う感じでしたが、今回は不気味さもドロドロさもしっかり感じました。
そして何と言っても「理瀬」という魅力的な主人公にはまりました。